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インド人が出てこないインド映画、「少年たち」のススメ(ネタバレなし)

開始30秒で踊りだす!早すぎる展開!多すぎる登場人物!回収されない伏線!突然の死!


ごきげんよう
皆様巣ごもりを楽しくお過ごしですか?
暗い話題や同じような話題のループで精神をすり減らしてはいないでしょうか。

そろそろネタが尽きてきたり、気軽な作品が観たくなっていませんか?
平成と令和を股にかけるトンチキ問題作、「映画 少年たち」をおすすめしますよ!

ほぼ白昼夢です。
朝起きて断片的に思い出す、脈略のない夢。イケメン多めの。

この映画は少年刑務所」という重い題材を扱っているにも関わらず、あまりにもトンチキで突飛すぎて意味が分からないハイパー脚本破綻インド映画(但しインド人は出演していない)
初見後、あまりの意味の分からなさに劇場の椅子で呆然と涙を流しながら宇宙猫になってしまったのに、劇場に通算11回も足を運んでしまった女による「映画 少年たちのススメ」です!

あらすじ

1969年の初演以来、ジャニーズの人気伝統舞台として幾度も上演を重ねられてきた、ジャニー喜多川製作総指揮の舞台、「少年たち」。

心に深い傷を持ち、それぞれの事情を抱えて少年刑務所に収監された少年たち。
争うことでしか自分を鎮めることができない彼らは、赤房、青房、黒房の各チームで徒党を組み、喧嘩を繰り返していた。

ある日、刑務所に1人の新入りがやってくる。
身寄りがなく誰にも心を開かなかった彼は、この場所で初めて信じられる仲間に出会い友情を育んでいく。

しかし、冷徹な看守長が赴任してきたことをキッカケに、彼らの日常が変わっていき、事件が起こり…


主人公不明

たぶん、京本大我演じる「新入り」、ジュンが主人公。

でも、ジェシー演じる赤房のリーダー・ジョーもハイパー主役級扱い(闇深)だし、そのジョーと対立する岩本照演じる青房リーダー・コウタも主役級(超絶闇深)。
それ以外にも「ん?この人主人公か?」と思うような人が数人出てくる。意味が分からない。


出演者過多

この映画、今年1月にデビューしたSnow ManSixTONESを軸に、当時の主要ジャニーズJr.を出演させるために制作されているため、超絶出演者過多。
加えて主要な女性出演者はたったの2人。どの場面を切り取っても、圧倒的に男(但しイケメン)だらけで余計に分かりづらい。

まず初見では誰が誰だか全く分からないと思いますが、それでいいです。大丈夫です。分かってても分かってなくてもどうせ意味は分かんないっす。

あらすじにもあるように、少年刑務所の「組み分け」のようなものとして、5つの房に色分けされています。
赤と青。それを傍観して楽しんでいる黒。黄色と緑は一切関係ないのでどうでもいいです。

だんだんと「なぜ収監されたか」「どんなバックボーンのせいでこうなったのか」が明かされる人と明かされない人が出てきます。
明かされない人はそこまで主要な人物ではないので、2回目以降に深く追いましょうね。


変なところがリアルで、基本的に設定がガバい

撮影で使用されているのは旧奈良少年刑務所の実際の建物。
よく「既婚者で出産間近設定の青房のタスクは少年なの?」とツッコミを入れられているが、当時の奈良少年刑務所は25歳までの受刑者が収監されていたので、既婚者のタスクがいてもおかしくない。
そもそも、主要キャラクターを演じているSnow ManSixTONESの面々が映画公開当時「上26歳、下21歳」のベテランジャニーズJr.だったので、結果的にリアルさが増して都合がよかったのかもしれない。

あとタスクに関してはそれ以前にもっと辻褄が合ってないキャラなので観てくれ。(これ以上言うとネタバレになる)


と、わざわざ書いたのは、ここしか設定で褒めるところがないからだよ!!!!

そもそも情状酌量で何とかなるだろ…なんでそいつは死んだんだよ…なんでそのあだ名なんだよ…おしえてくれよ…なあ…


突然歌いだすし踊りだす

ミュージカル映画なので。
と言われればそれまでだけど、シリアスなシーンで突然歌いだす。それも超明るい曲。歌詞も全く関係ない。
例えるとすれば、ハリーポッターでフレッド・ウィーズリーが死んだあと、突然ハリーとロンが嵐のHappinessを歌いだす感じ
意味が分からない。これは20回観ても30回観てもいまだにわからない。CMだと思って観てる。

一度でも見た人なら、これがどのシーンを指してるか分かると思う。なんで伝わっちゃうんだよ


歌で状況が全く分からない

ミュージカル映画の「歌パート」というのは重要で、登場人物たちの心情や状況を描いてくれているものです。
ただ、本作はジャニーズに半世紀以上前から存在している舞台の映画化という性質もあり、「出演者の持ち曲をねじ込んだ」り「舞台伝統の曲をそのままぶち込んである」ため、映画の脚本と曲が絶妙に合ってない。

SixTONESSnow Manは2020年のアイドルなので、曲は2020年の曲調。
しかし舞台の初演は1969年なので…

おわかり?
坂本九King GnuJUDY AND MARYあいみょんがごちゃごちゃにシャッフル再生される感じだ。脈絡はない。



例えば、この映画最大の見どころであると私が思っている、冒頭9分間のワンカメ一発撮りのダンス&歌シーン。
主題歌→赤房・青房リーダーを象徴する曲→赤房を演じているSixTONESの持ち曲→青房を演じているSnow Manの持ち曲→主題歌に戻る
という構成だが、言わずもがなSixTONESSnow Manの持ち曲は1ミリも本編に関係がない
突然監獄の中で「俺たちJAPONICA STYLE」と歌われて観客は開始3分で宇宙猫になってしまう。


例えば、赤房新入りのジュン(京本大我)が「お前はなんで収監されたのか」と聞かれ、理由を歌で答える。

「答えは簡単さ あの空が青いから」

訊いた仲間は不思議そうな顔でウロウロしてるし、私は答えが難解すぎてポップコーンをそっと口に運んだ。



伏線未回収×∞

作中、物凄く伏線(たぶん)が張り巡らされています。

乗り物の荷物棚の中、持ち物、書いている内容、過去の話…
ただ、「これ伏線かな?」と思った8割が回収されず散らかったまま終了します。えっ…これ映画…だよね…?
想像の余地もないぐらい、すがすがしいほどの放置っぷり。

色々考えながら見ると楽しいと思う。回収されないからこそアレコレ言いながら妄想できるし。余地ありすぎだけど。



時代設定迷子

冒頭に2012年、とデカデカ映し出されますが、少し…いやあまりにもダサすぎる衣装、喫茶店の内装、キーポイントになる遺品がハイパーヨーヨー

2012年って何年だろう。


主要出演者の演技は秀逸

勿体ないなあ、描いて欲しいところが描かれてない!
と歯がゆくなってしまうのは、主要な出演者たちは健闘しているので、だからこそもう少し丁寧に彼らの演技を見たいなと思ってしまうのである。


例えば青房リーダーのコウタを演じる岩本照。
やさぐれて喧嘩っ早いが房を纏めるリーダーの風格が漂っていて仲間想い。というキャラが伝わってくる。
元々ダンスの上手いメンバーだが、劇中における楽曲の中でも異彩を放っていて思わず目が行ってしまう。
私はこの映画で彼の演技と歌声、ダンスに心底ほれ込んだ結果、Snow Manの沼底に生息するハメになった。好き。

赤房のダイケン役を演じている松村北斗
このキャラクターは他の主要キャラと違い、元々は非常に真面目で頭のいい青年で、罪を犯すに至ったバックボーンがかなり異なる。
そのため、帰りを待っている家族がおり、出所後も恐らくどうにか生きていける。
監獄での生活を送るうちに、獄中の仲間との絆も生まれてきてしまい、その狭間で揺れ動く…という系統の違う葛藤を演じなければならない。
難しい役どころだが、すごく引き込まれる。


出演者過多だからこそ、「このキャラは…!」とあなたにハマるキャラクターが必ず出てくると思う。



ジャニーのポエム

これを体現するために我々はトンチキを2時間浴びせられたんか?






死んだはずのキャラが生き返ってるし、突然死するヤツもいるし、マジで意味が分からない。
難しく考えた方が負けなんだと思う。

今は亡きジャニー喜多川が言いたいことを凝縮しまくった結果、1つも意味が分からなくなった事故しか起こしてない問題作が爆誕し、それが2度もアンコール上映され満席になっている事実。

世界よ、これがJohnny'sエンタメだ!
と大声で言いたくなる。この意味の分からなさ、この勢いで解決してる感。

でもね、歌もダンスも演技もいいし、まさに少年たちが奮闘している姿がリアルに切り取られていて、意味不明なのに満足感がある。
真面目に見ても全く意味が分からないからこそ、子供も大人も楽しめる。

また女子供を無下に扱ったりしないし、理不尽に苦しむ人は存在しない(必ず全員に救いがある)、そしてエログロはないので、不思議と不快な思いをする人は少ないんだよな。
捉えようによってこれをバッドエンドと取るかハッピーエンドと取るか。それはそのキャラクターを主人公とみるかにもよって変わってくる。

主人公行方不明だからこそ、何度も見て、いろんなキャラクターに焦点を当てて何度も楽しめる。



そんで、
終始シャッフルモードのバグったプレイリストみたいな楽曲たちも、1曲1曲を切り取るとメチャクチャ良曲揃いなんですよね。

私はこの舞台伝統の一曲でもある。「闇を突きぬけて」が一番好きです。
映画DVDだとチャプター6がちょうどこの曲ですね。
青房リーダーのコウタを演じる岩本照さんのダンススキルの高さが如実に表れている一曲でもあり、私がこの映画を11回も劇場で観た一番の理由と言いますか、この曲を観るために11回行ったといっても過言ではない。
全員表情が良くてな…なんだよトンチキのクセにこの曲はマジが過ぎるぜ…!





Snow ManSixTONESも(というか近年のジャニーズは特に生存競争が激化しているので)歌が上手くて聞き苦しさがない。



ちなみに私の推しキャラは青房のタスク。